今、一番重要な経営資源は何か?

ー 第34回 ー

時代と共に変わる「重要な経営資源」

 

突然ですが、会社の中で「最も重要な経営資源」は何でしょうか?
私がコンサルタントになった30 年前からよく聞かれる質問です。その答えは時代によって変わってきています。
例えば、30 年前は「ヒト・モノ・カネのヒト」だと言われました。モノは無くなったらまた買えばいい。カネはなくなったらまた借りればいい。でもヒトだけは、いなくなったらまた採用すればいいとはいえない。ヒトは、それぞれ固有のスキルがあり、同じスキルを持った人はなかなか採用できない。だかヒトが一番大切だということです。

 

ところが、今から20 年ほど前にオフィスのIT化が進み、属人化された仕事が減って仕組み化が進むと、ヒトがいなくなったら、また採用すればいいという意見が出るようになりました。逆に、IT化と共に最も重要だと言われた資源は「顧客リスト」に変わりました。ネットやリアルな店舗で一度ご利用頂いたお客様にDMや電子メール、SNS等を使って情報を発信しリピートオーダーを獲得するビジネスモデルには「顧客リスト」が欠かせないのです。その「顧客リスト」は一度失われると、復活させることが大変難しいです。

 

例えば、東日本大震災の時、事務所を丸ごと波にさらわれてしまった会社がありました。この会社は顧客リストを台帳で管理していたため、復興後の営業再開日に「今日から営業再開です。これからもよろしくお願いします」という案内を既存客に案内できず、軌道に乗るまで大変苦労されました。

 

近年では顧客リストはデータセンタやクラウドでの管理が当たり前になってきました。そのため「顧客リスト=最重要な資産」とは言われなくなりました。では、ここ10 年は一体何が一番大事な経営資源なのでしょうか?

 

『管理者の時間』を何に使うか

 

それは、『管理者の時間』です。
現在、どの会社もギリギリの人数で会社を運営しています。そのため管理者=プレイングマネージャが常態化しています。そしてその多くが、マネージャとして活動する時間以上にプレイヤーとして活動に時間を割いています。
営業系の管理者であれば、管理者自らが大口の顧客を担当していることも少なくありません。そのため何度もお客様に呼び出されたり、資料作成や接待に時間を取られることが少なくありません。その一方で、管理者には組織を成長発展させるための活動は欠かせません。
それは主に以下のような仕事です。

● 部下育成、信頼関係づくり
● 組織、チームの一体感醸成
● 採用、育成、評価の制度設計
● 理念、行動規範の浸透
● 将来においても継続的に売上を伸ばすための戦略創り

 

これらの仕事は、「重要性は高いが緊急性が低い」仕事です。そのため、「やらなきゃいけない」と気づいていても、先送りされることが多く、結果的にほとんどやられていないケースが目立ちます。
いかがでしょう?あなたの会社の管理者は、こうした活動をしていますでしょうか?

 

 

コンサルタントの正しい活用法

 

これらの活動の重要性は、社長なら分かっていると思います。今、どの会社も一番欲しいのは主体性を発揮する人材です。そうした人材は、トップや上司が部下の話を聴いたり、理念やビジョンの大切さを説き、チームメンバーと共有するからこそ生まれてきます。


つまり主体性を発揮する人材を育む「管理者の時間」。これこそがこの10 年の最大の経営資源なのです。ではどうしたら、上記のような「重要だけど緊急性の低い仕事」に時間を避けるようになるでしょうか。そのひとつの答えがコンサルタントの活用です。


コンサルタントが入ることで、上記の「重要性は高いが緊急性が低い」は、「先生が来るからちゃんとやろう」「宿題だからやらなくては」など、今やらなくてはならない緊急性の高い課題に変わるのです。これがコンサルタントを用いると会社の成長が加速する理由であり、正しい活用法なのです。

 

是非あなたの会社で『管理者の時間』という経営資源が有効に使われているかどうか、チェックしてみてくださいね。

 

 

株式会社V字経営研究所
代表取締役

酒井 英之

社員が活躍できる仕組みが会社を強くする!会計、危機管理、顧客満足、商品開発…会社の強さを一つひとつ点検していこう!チェック形式だからすぐできる。資本力のない小さな会社は、社員一人ひとりの生産性や付加価値を高めて、戦っていくしかない。経営コンサルタント歴25 年以上の著者が中小企業の社長に提示する96 の経営チェックリスト!

 

V字経営研究所